パンフレット用紙の知識

世界最大規模の印刷機材の展示会「IGAS2018」が開催。5万6000人の来場者でにぎわう

2018年7月26日から31日までの6日間にわたり、東京ビッグサイトにおいて、国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018(International Graphic Arts Show 2018)」が開催されました。

IGASは、アメリカのPRINT、イギリスのIPEX、そしてドイツのdrupaと並ぶ、世界の4大印刷機材展の一つ。今回、3年ぶりの開催となりました。

この記事では、IGAS2018の概要、そして、展示会においてひときわ目立ったメッセージを掲げた企業とその背景について、ご紹介します。

最新の印刷関連機材・技術・サービスが集結

IGASは、プリプレス、プリメディア、印刷、製本、紙工、ラベル、パッケージング、クロスメディア関連の最新機材・技術・サービスが集結した展示会です。印刷に関連する最新技術やサービスを紹介したり、さまざまなソリューションを提案したりするほか、ビジネス創出や人材交流の場として有用です。

今回のIGAS2018のテーマは「Venture into the Next! ‐変わる印刷、変える未来‐」。印刷業界だけにとどまらず、印刷会社の顧客であるブランドオーナー視点に立ち、さまざまな業種とのクロスメディアにおける最新のテクノロジーやソリューションを提案していくこととなりました。

今回の展示会では、319の企業・団体が出展しました。会期中、約5万6000人の方が来場され、盛況のうちに幕を閉じました。

イベントも盛りだくさん

会場では、さまざまなイベントも催されました。

パネルディスカッションとセミナーでは、さまざまなテーマのもと、ブランドオーナー視点でのパネルディスカッションやセミナーを開催しました。最新印刷技術の動向や印刷、クロスメディアなどに関わるマーケティング、業態変革、新規事業など、ビジネスに直結するテーマを取り上げました。

また、フレキソゾーン、東京都中小企業振興公社ゾーン、大学研究機関などの次世代印刷技術を展示する研究・教育ゾーンとして、テーマゾーンを設置。加えて、「SMALL START ZONE」として、主に中小印刷会社を対象に、小ロット化が進む市場に対応した、小型で安価な製品を中心に、ユニークな技術や製品を出展しました。

そして、一般社団法人 日本印刷産業連合会などにおいて実施されているカレンダー、カタログ、造本装幀、パッケージ、シール・ラベル、メディアユニバーサルデザインなどの各種コンテストの受賞作品を一挙公開するとともに、環境やCSRなどの印刷産業の取組みなども紹介しました。

「紙、復活」を宣言する企業も

ところで、展示会場において、来場者の目をとりわけ引いたのが、日本HPのブースに掲げられた「紙、復活」という大きな文字です。

日本HPは、「紙、復活」をテーマに、革新的なデジタル印刷技術によって実現するメディアとしての新たな紙の価値を、印刷セグメント別に、200種類を超える最終成果物を通して具現化し、「WONDERLAND(ワンダーランド)」と命名したブースにおいて紹介しました。

デジタル化やペーパーレス化が叫ばれ、紙の使用を減らす傾向が強まっている今、紙に焦点を当てた同社のメッセージは、来場者に強い印象を残したようです。

その上、横文字によるメッセージが多い同社が、漢字だけでメッセージを示すのは異例のこと。それだけに、インパクトのある演出だったとも考えられます。

同社がこうした紙の復活を宣言した背景には、デジタル印刷によって、これまでとは違った印刷の提案が可能になったことが大きいといえます。これには、次に挙げるようなデジタル印刷によるメリットが深く関与していると考えられます。

・必要なタイミングに、必要な枚数を印刷できる

デジタル印刷では、印刷版が不要であるため、それを用意したり、セットや調整をしたりする手間が省けます。これによって、データから直接印刷工程に進むことができ、印刷したいときにいつでも、必要な枚数を印刷できる環境が実現します。

・パーソナライズ化した印刷が可能になる

具体的には、雑誌や書籍に、個別にメッセージを入れたり、ダイレクトメールには直接送付先を印刷したりすることが可能になります。例えば、女性向けファッション誌の「ELLE」では、日本HPの独自技術を利用して、個人的なメッセージを入れた雑誌を制作しました。

以上のメリットは、先のコラム「紙媒体の良さが見直されてきている」(URL: https://100pamphlet.jp/lab/lab_print/2969/)でご紹介したことにも関連します。

ペーパーレス化などが進むなかにあっても、「紙」を切り口に、デジタル商業印刷により、顧客に新たな価値を提案できるという判断に至ったからこそ、日本HPは、IGAS2018において「紙、復活」を宣言したのでしょう。

次回のIGASは、4年後の2022年の開催が予定されています。
なお、前回のIGAS2015までの過去の開催報告書は、公式サイト(URL: https://www.igas-tokyo.jp/perspective/igas-history.php)からダウンロードすることができます。今回のIGAS2018の報告書についても、後日公開される予定です。

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